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特集 サステナビリティ座談会

サステナビリティの実践と
プラスのユニークネス

独自の価値観を貫きながら、サステナビリティを追求し続けるプラスグループでは、社会の動きや時代の変化に応じて、さまざまな取り組みを行っています。今後、新しい価値を社会に提供していくうえで、プラスグループの企業文化や強み・リソースをどのように活かしていくべきか、3カンパニーの責任者が語り合いました。
(ファシリテート:TOPPAN株式会社)

写真左から

  • ジョインテックスカンパニー 執行役員
    商品本部 本部長
    児玉 清
  • ステーショナリーカンパニー 執行役員
    マーケティング本部 本部長(兼)PLUSブランドマネージャー
    竹内 淳子
  • ファニチャーカンパニー 執行役員
    営業本部 副本部長(兼)クリエイティブ事業部 事業部長
    野中 由美子

3カンパニーのミッション

カンパニーの特長とミッションを教えてください。

竹内

プラスの祖業である文具を扱うステーショナリーカンパニー(以下、PSC)が重視しているのは、「価値づくり」として、新しい発想の商品を次々に世に出していくことです。私たちのブランド認知度調査では、プラス文具の特長は優れたデザインであるという評価をいただいています。理念に掲げるユニークネスの追求が、私たちの生命線です。

野中

文具商であったプラスは1991年、前橋工場を設立し、本格的なメーカーへと転身しました。ワークスタイルが多様化していく時代にオフィスはどうあるべきか、働く人を起点に発信・提案し続けているのがファニチャーカンパニー(以下、PFC)です。PFCでは「オフィスはメディア」という考えのもと、家具と働く環境デザインの提供を通じて、お客様の企業文化をかたちにしていくお手伝いをしています。またハイブリッドワークが定着している中、オフィスに求められるものを象徴するキーワードとして、「オフィスに引力を」を掲げ、性別・世代・立場を問わず、誰もがワクワクしながらいきいきと働けるプラットフォームの提供をミッションとしています。

児玉

ジョインテックスカンパニー(以下、JTX)は、製造から先の流通過程を担っており、2001年に事業をスタートしました。BtoB市場において、お客様の働く場所で必要とされるであろうモノやコトを、適正な価格で高い利便性をもってお届けすることを生業としています。JTXの事業はモノづくりではありませんが、ユニークネスを追求しているのは他のカンパニーと同じです。他社にはない独創的な価値観の商品を提供することもミッションです。特に私たちは、プラス以外のメーカーの商品も幅広く扱っているため、市場の動向をグループにフィードバックして、より良い製品開発をサポートする役割も担います。お客様に良いモノをお届けするため、プラス以外の商品をお勧めすることもあります。

サプライチェーン全体でのサステナビリティの具現化をリードする 児玉清

皆さんは、「プラスらしさ」をどのように捉えていますか?

竹内

PSCの最大の特徴は、ニーズ把握から製品企画、販促企画やSNSなどのマーケティング、量産企画に至るまで、文具にまつわる幅広いバリューチェーンを1つの部署が担うことです。エンジニアリングや工場とのやり取りにも深く入り込みます。これは同業他社の中でも珍しいことです。文具業界は他の消費財よりも各カテゴリーの市場規模が小さいうえに、私たちの主戦場である事務用品分野は成熟しており差別化が難しく、消費者のニーズを的確に捉えて新しい価値を創造していくことが重要になります。そのため、上流から下流まで、すべての工程へ「インサイト」を反映していくことが大切で、それがプラスらしさの基礎を成していると思います。もちろん、ユニークなデザインや発想と、工場の稼働率や売上規模の確保を両立させることも、非常に重視するべきポイントではありますね。

野中

バリューチェーンに密着するという点は、PFCも同じです。私たちは、時代の変化とお客様の想いを深く理解したうえでプロダクトやプランニングを提案・提供しますが、常に働く人を中心に据えたアプローチを実践しています。プロジェクトを進めるにあたり「一緒に仕事をしたいと思ったのはプラスさんだ」とご評価をいただきパートナーに選定いただくこともあります。お客様における経営層からプロジェクトご担当者、そして社員の方々、さまざまな人と真摯に向き合いながら挑戦し、新しい価値を生み出していこうとする姿勢は群を抜いていると思いますね。さらに言えば、PFCが注力するのは、いかにお客様の働く環境における経営課題を解決するかということ。例えば、フリーアドレスの捉え方が「空間の有効活用」から「コミュニケーションの活性化」へ変化しているように、時代の流れや企業規模に応じて、私たちのソリューションは変わります。それに対してモノからコトまで、プラスグループのシナジーをベースにトータルで応えていけることも、プラスらしさなのではと感じます。

児玉

時代のニーズや企業規模に応じてきめ細かく対応するという姿勢は、JTXでも同じです。その中で注目している動きは、企業購買における環境対応ニーズが年々高まっている点です。一方で、私たちのお客様には中小企業も多く、サステナビリティ対応に十分なリソースをかけられないケースが多くあります。そこでJTXでは、全国に広がる販売パートナーと協力してお客様の課題解決を最優先し、サステナビリティ推進に貢献できるよう注力しています。販売や物流を司る我々としては、今後さらにアンテナを高くして存在感を発揮していきたいと考えています。

ミッションの達成に向けて

現在の課題とそれを乗り越えるための取り組みをお聞かせください。

児玉

環境対応とユーザーの利便性を両立させる仕組みやサービスを拡充していくことが最も重要だと考えています。スマート事業では、配送曜日を固定できる新サービスを開始しました。これは、学校・保育施設、介護・福祉施設のような忙しい現場での荷受けの負荷を減らすことと、物流や環境への負荷削減を同時に実現できるサービスです。賛同いただけるユーザーが徐々に増えており、納得して協力してもらえるような仕組みづくりが重要だと実感しています。もちろん商品ラインナップにも環境配慮商品を増やしており、サステナビリティへのムードづくりを強く意識しています。

竹内

PSCでも、プラスチックの使用削減・再利用などを進めた環境配慮商品の開発に注力しています。文具の販売地域は世界中に広がっており、グループの中でも売上の海外比率が高くなっています。特に欧州ではパッケージへのプラスチック使用や化学物質に対する規制が厳しく、グローバルでの売上拡大において環境対応は不可欠です。PSCでは先進的に工場の製造プロセスでの環境対応を進めているほか、お客様の声をお聞きしながら、さまざまなエコ対応の製品を展開しています。2024年2月にリリースした「COE365」の新シリーズも、パッケージレス仕様で製品本体に再生樹脂を使用しつつ、ポップなデザインでZ世代の共感を得ています。PFCと共同で策定した「サステナビリティ開発方針」も、象徴的な取り組みですよね。この方針には「無駄に資源を使っていないか、ロングライフか、身体への負荷が少ないか、誰でも同じように使えるか」といった項目があり、環境観点はもちろん、ユニバーサルデザイン、社会貢献の観点でのチェックリストとしても機能します。

新たな「価値づくり」に向けてグループ内外の連携を深める 竹内淳子
野中

サステナビリティ開発方針は、PFCでも昨年から運用を開始しています。重点取り組みテーマ「地球環境に満足を。」のマテリアリティに対して太陽光発電、廃棄物・品質への取り組み、地域貢献活動などサステナビリティ活動を推進しています。製品開発においても、CO2排出量算定ニーズに対応していくため、プロセスごとに排出量を可視化できるサステナブル製品開発も念頭に置きながら、自分たちのモノづくりの視点を再確認して進めています。他、サステナブルな発想を起点とした産学連携の取り組みにも注力するなど、サステナビリティを意識したモノづくりの浸透が加速しているように思います。

児玉

JTXはお客様の調達管理を請け負っている手前、仕入先にグリーン調達ガイドラインに則った活動をお願いする立場にありますが、まずは自分たちが宣言してからパートナーにも要請するというのが、本来あるべき姿と考えています。そういう意味で、2022年にプラスグループがサステナビリティ方針を策定し、さらにPSC、PFCでもサステナビリティ開発方針の運用がスタートしたことは、非常に有意義であり、個人的にはとても腹落ちしました。

野中

PFCとしても、自社のオフィスや働く環境を、お客様に共感いただけるような状態に常に進化させ続けていかなければという課題認識があります。PFCのオフィスは「CASBEEウェルネスオフィス評価制度」最高位Sランクを取得、プラス株式会社としては健康経営優良法人2024の認定を取得するなど、自分たちのビジネスの競争力向上のために意識を高く持とうと社内に呼びかけています。

児玉

流通面におけるサステナビリティ推進の課題は、社会全体での仕組みづくりを加速させていくことでしょう。環境配慮商品は、やはり単価が高い。高くても納得して購入してもらえる、もしくは安価に流通させる仕組みを、行政等とともに構築していく必要があると考えています。

竹内

パートナーシップの強化は、モノづくりの現場においてもかなり重要になってきています。特に再生材の調達に関しては、知見の取り合いになっている現状がありますよね。PSCでは、バイオマスや生分解といった専門知識を学ぶ勉強会を実施しながら、業界団体等への参加を通じて他社との協業も強化していく方針です。

野中

PFCでは、環境対応をはじめとしたサステナビリティ推進の効果を、データを用いて可視化していくというアプローチも重視しています。オフィス環境における照明照度、換気、温度・湿度の測定や、座席の稼働状況などを数値で計測、働く環境・いごこちの見える化により、経営指標の中の例えば「生産性の向上」実現のKPIの一つとして管理をしたいという企業のニーズが高まっています。そうした声に対して、PFCはデータ活用ソリューションでお応えしています。例えば、簡易座席予約アプリ「Suwary(スワリー)」では、開発当初はなかった機能も追加しながらオフィスデータの可視化を進めています。

児玉

JTXはカタログ通販ビジネスを手がけているので、ITへの感度を高く保つことはもちろんなのですが、教育・介護の現場に必要な物品を届けるスマート事業では、お客様のお悩みに応えるため、人力に頼る領域をいかに削減するかという視点を大切にしています。例えば、最新のICT教育ツールに不慣れな教員の方々をサポートするサービスを考案したり、介護施設内で入所者の方々の注文や支払いを集約できるような仕組みを考えたり。人手が不足して常に忙しい教育・介護業界で、利便性を高め、働く人のストレス低減に貢献するために、どの仕事をITに委ねるか。単にモノを販売するだけではなく、パートナーである販売店様とナレッジを共有しながら、ソリューション力を高めるサポートを行うことが、プラスらしいユニークネスの発揮に繋がっていくはずだと考えています。

社内連携の加速

プラスらしいサステナビリティの実現に向けて、社内でどんな連携を図っていますか?

野中

恵比寿に構えたPFCの拠点「PLUS DESIGN CROSS」は、まさにサステナビリティ方針を体現している場所だと思います。ライブショールームとしての役割も担っており、そのオフィスデザインはもちろんですが、新たな価値を生むために「共創」をコンセプトとして構成したオフィスの在り方に対して、1万人を超えるご来訪者から「刺激を受けました。ぜひこういうオフィスを作りたい」とご好評をいただいています。リモートワークの浸透が進む中で、社員の交流をいかに活性化させ、クリエイティビティを発揮させていくかが、お客様の共通課題。プラスとしての解を提示するため、私たち自身も、こだわりを持って日々改善に取り組み、お客様にしっかりとPFCの「社会最適」の実践を説明できるような体制づくりをしています。

「人・働き方」「働く環境」に新しい価値をモノとコトで創造する 野中 由美子
児玉

JTXでは、「社会に満足を」に繋がるマテリアリティを高い次元で実現していくため、社会最適や顧客満足の観点で新たな価値を創出した社員を表彰する「ジョインテックスアワード」を約20年前から開催しています。中でも特に優秀な事例は「New Middleman大賞」として称えられます。より良い暮らしを志向する「生活者視点」を重視し、より良いサービスや商品ラインナップを充足させるために、セールス&マーケティング、商品本部、物流企画、品質管理部など各部門が、絶えず横断的に議論を交わしています。後輩たちの課題認識もとても深く、互いに切磋琢磨する様子はとても頼もしいです。

  • ジョインテックスカンパニーが目指す、新たな機能・価値を提供し続ける新中間流通業。
竹内

「生活者視点」は、まさにPSCでも見直している点です。私たちは、新しい価値創造の前提として2022年に「プラス文具」の定義に取り組みました。その中で「働く・学ぶ・暮らす道具で人々の気持ちを上げて世の中をプラスにする」というブランドガイドラインを策定すると同時に、これまでに蓄積してきた知見や実績を再検討し、新たな軸で捉え直すことで、驚きや楽しさといったプラスらしい情緒的価値をさらに追求しています。そして2023年、新たなブランドステートメント「Stationery, and beyond」を掲げました。ここには、ペーパーレス化や少子化、AIの普及などで文具市場が急速に変化する中、文具の概念を越えて、新しい領域で価値を生み出していこうという想いを込めています。ぺんてるやセーラー万年筆、日本ノートを含めたグループ全体でこれまで以上に連携を深めつつ、企画会議への上申件数をKPIに定めて月次でモニタリングするなど、より一層、ユニークネスの追求に力を注ぐ方針です。

野中

私は、プラスには、「社会最適」を念頭にそれぞれが持つミッションに関係するメンバー、そのすべての人たちがコミュニケーションを重ねる中で、常に互いの動きを気にかけ、リスペクトし、お客様やパートナーを大切にする風土が根付いていると感じます。自部門はもちろん、他カンパニーとも密にコミュニケーションを取りながら、オールプラスで新たな価値を提案していきたいですね。

未来に向けて

サステナビリティ方針・マテリアリティをどのように活かしていきますか?

児玉

事業を進めていく中で、プラスグループのサステナビリティに関する考え方を明文化することは、お客様をはじめとしたステークホルダーの皆様からの要望でもありました。プラスらしいサステナビリティ方針とマテリアリティが策定されたことで、皆が元から持っていた価値観がスッキリと輪郭を現したような感覚がありました。策定して約2年経ちましたが、社内外の共有やマテリアリティに紐づく活動がかなり進んだ実感があります。プラスらしいサステナビリティの実現に向けて、しっかりと舵を切れたと思います。

野中

確かに、サステナビリティ方針・マテリアリティは、策定される前からすでに社員一人ひとりの仕事に浸透していた考え方ですよね。今後、ビジネスと社会課題解決のループを加速させていくためには、これらを感覚ではなく言語としてきちんと捉え直し、より一層の意識向上を図っていく必要があると感じています。

竹内

プラスでは以前から当たり前にサステナビリティに取り組んできたわけですが、近年、その取り組みの社会的価値が高まっていると感じます。環境問題などの社会課題の捉え方や働き方・学び方の変化は、モノづくりにも変化をもたらしています。これからも時代の変化を機敏に捉えながら、お客様が笑顔になるような商品を生み出し続けていきたいですね。

野中

本当に同感で、私は、“ココロ”を動かすアイデアを生み出し続けることが何よりも大事だと思っています。相手の心を動かすことができなければ、関係性が深まっていきません。社員一人ひとりがお客様の課題を自分ごとと捉えて、新しい価値の創造とともに行動を変えていく。それがプラスらしいクリエイティブだと考えています。